はじめに
「転職を考えているけど、何から始めればいいかわからない」「転職活動を始めたものの、なかなか内定がもらえない」
エンジニアとして転職を検討している方の中には、こうした悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
エンジニアの転職市場は活況を呈していますが、準備不足のまま転職活動を始めてしまうと、理想とかけ離れた結果になってしまうこともあります。実際、転職後に「こんなはずじゃなかった」と後悔するエンジニアは少なくありません。
この記事では、エンジニア転職で失敗しないための7つの準備ステップを詳しく解説します。転職活動を始める前にこの記事を読むことで、内定獲得率を大幅に高めることができるでしょう。
この記事でわかること:
- 転職活動を始める前に必ずやるべき準備
- 書類選考を通過するポートフォリオの作り方
- 面接で評価される回答のポイント
- 転職活動中に気をつけるべき注意点
エンジニア転職市場の現状|2025年の動向
本題に入る前に、2025年のエンジニア転職市場の動向を押さえておきましょう。
求人倍率は依然として高水準
2025年1月時点のIT・エンジニア職の有効求人倍率は約3.5倍です。これは全職種平均の1.3倍と比較して、非常に高い水準となっています。
| 職種カテゴリ | 有効求人倍率 |
|---|---|
| IT・エンジニア | 3.5倍 |
| 営業 | 2.1倍 |
| 事務 | 0.4倍 |
| 全職種平均 | 1.3倍 |
特に以下の分野では人材不足が深刻で、求人倍率が高くなっています。
- クラウドエンジニア: 5.2倍
- セキュリティエンジニア: 4.8倍
- データエンジニア: 4.5倍
- SRE/DevOpsエンジニア: 4.3倍
転職成功者の平均年収アップ額
エンジニアの転職による年収アップの平均は約50万円〜80万円です。ただし、これはあくまで平均であり、準備次第で100万円以上のアップも十分に可能です。
年収アップ額の分布:
- 年収ダウン: 15%
- 横ばい(±10万円): 25%
- +10万円〜50万円: 30%
- +50万円〜100万円: 20%
- +100万円以上: 10%
年収アップを実現するためには、事前の準備が不可欠です。
ステップ1: 自己分析で転職の軸を明確にする
転職活動の第一歩は、自己分析です。自分が何を求めているのかを明確にしないまま転職活動を始めると、軸がブレて失敗する可能性が高くなります。
なぜ転職したいのかを言語化する
まず、転職を考えている理由を整理しましょう。以下の質問に答えてみてください。
- 現職で不満に感じていることは何か?
- その不満は転職しないと解決できないのか?
- 転職によって何を実現したいのか?
転職理由は大きく分けて以下のカテゴリに分類されます。
ポジティブな転職理由:
- スキルアップ・キャリアアップしたい
- 新しい技術に挑戦したい
- より大きな裁量を持ちたい
- 年収を上げたい
ネガティブな転職理由:
- 人間関係がうまくいかない
- 残業が多すぎる
- 評価制度に不満がある
- 会社の将来性に不安がある
ネガティブな理由で転職を考えている場合でも、面接ではポジティブな表現に変換する必要があります。
転職で実現したいことを優先順位付けする
転職で実現したいことをリストアップし、優先順位をつけましょう。
転職軸の例:
| 優先度 | 転職軸 | 重要度 |
|---|---|---|
| 1 | 技術的なチャレンジができる環境 | 必須 |
| 2 | 年収600万円以上 | 必須 |
| 3 | リモートワーク可能 | あれば嬉しい |
| 4 | 自社開発企業 | あれば嬉しい |
| 5 | 副業OK | なくてもOK |
すべての条件を満たす企業を見つけるのは難しいので、**「必須条件」と「あれば嬉しい条件」**を明確に分けることが重要です。
5年後のキャリアイメージを描く
転職は短期的な判断ではなく、中長期的なキャリアを見据えて行うべきです。5年後にどのようなエンジニアになっていたいかをイメージしましょう。
5年後のキャリアイメージ例:
- テックリードとしてチームを技術的にリードしたい
- プロダクトマネージャーとしてサービス開発に携わりたい
- 特定分野のスペシャリストとして認知されたい
- 起業するための経験を積みたい
キャリアイメージが明確になれば、どのような企業に転職すべきかが見えてきます。
ステップ2: スキルの棚卸しで市場価値を把握する
自己分析ができたら、次はスキルの棚卸しです。自分が持っているスキルを整理し、市場価値を把握しましょう。
技術スキルのリスト化
まず、使用できる技術をカテゴリ別にリスト化します。
プログラミング言語:
| 言語 | 経験年数 | レベル |
|---|---|---|
| Java | 5年 | 設計・実装・レビュー可能 |
| Python | 2年 | 実装可能 |
| JavaScript | 3年 | 設計・実装可能 |
フレームワーク・ライブラリ:
- Spring Boot(3年)
- React(2年)
- Django(1年)
インフラ・クラウド:
- AWS(EC2, RDS, S3, Lambda)
- Docker, Kubernetes
- Terraform
その他:
- Git/GitHub
- CI/CD(GitHub Actions, Jenkins)
- Agile/Scrum
プロジェクト経験の整理
単にスキルをリスト化するだけでなく、どのようなプロジェクトでどのように使ったかを整理することが重要です。
プロジェクト経験の整理テンプレート:
プロジェクト名: ECサイトリニューアル
期間: 2023年4月〜2024年3月(12ヶ月)
チーム規模: 8名
役割: バックエンドリーダー
使用技術: Java, Spring Boot, PostgreSQL, AWS
担当業務:
- APIの設計・実装
- コードレビュー
- 後輩エンジニアの育成
成果:
- レスポンス速度を40%改善
- バグ発生率を30%削減
市場価値の確認方法
自分の市場価値を確認するには、以下の方法が効果的です。
- 転職サイトでスカウトを受ける: 届くスカウトの年収帯で市場価値がわかる
- 転職エージェントに相談する: 客観的な市場価値を教えてもらえる
- 同業他社の求人を確認する: 同じスキルセットの求人年収を確認
市場価値を把握することで、年収交渉の際の基準ができます。
ステップ3: ポートフォリオ・GitHubの整備
エンジニアの転職では、ポートフォリオやGitHubが重要な評価材料となります。
GitHubプロフィールの整備
GitHubは「エンジニアの名刺」とも言われます。以下のポイントを押さえて整備しましょう。
GitHubプロフィールのチェックリスト:
- プロフィール画像を設定
- 自己紹介文を記載
- 主要リポジトリをピン留め
- コントリビューショングラフが緑色になっている
- README.mdでスキルセットを紹介
良いGitHubプロフィールの例:
# Hi, I'm Taro Yamada 👋
## About Me
Backend Engineer with 5+ years of experience.
Passionate about building scalable systems.
## Tech Stack
- Languages: Java, Python, Go
- Frameworks: Spring Boot, FastAPI
- Cloud: AWS (Certified Solutions Architect)
- Database: PostgreSQL, Redis
## Featured Projects
- [project-name](link): 概要説明
代表的なリポジトリの整備
GitHubにあるリポジトリの中から、3〜5個の代表的なプロジェクトを選んで整備しましょう。
README.mdに含めるべき内容:
- プロジェクト概要: 何を作ったか、なぜ作ったか
- 技術スタック: 使用した技術一覧
- セットアップ方法: ローカルで動かす手順
- スクリーンショット/デモ: 動作イメージ
- 工夫した点: 技術的なこだわり
ポートフォリオサイトの作成
余裕があれば、ポートフォリオサイトを作成することをおすすめします。
ポートフォリオサイトに載せる内容:
- 自己紹介
- スキルセット
- プロジェクト一覧(詳細説明付き)
- 経歴
- 連絡先
ポートフォリオサイト自体が、あなたのフロントエンドスキルを証明する材料にもなります。
技術ブログの開設
技術ブログを書くことで、アウトプット能力や技術への関心をアピールできます。
技術ブログのネタ例:
- 業務で学んだことのまとめ
- 新しい技術を試してみた記録
- エラー解決の備忘録
- 技術書の読書メモ
Qiita、Zenn、note、はてなブログなど、プラットフォームは何でも構いません。継続的にアウトプットしていることが重要です。
ステップ4: 職務経歴書の作成
書類選考を通過するためには、職務経歴書の質が重要です。
職務経歴書の基本構成
エンジニアの職務経歴書は、以下の構成が一般的です。
- 職務要約: 経歴の概要(3〜5行)
- スキルセット: 技術スキル一覧
- 職務経歴: 時系列で記載
- 自己PR: 強み・アピールポイント
職務経歴の書き方
職務経歴は、具体的かつ定量的に書くことがポイントです。
悪い例:
ECサイトの開発を担当しました。
バックエンドの実装を行いました。
良い例:
【プロジェクト概要】
大手小売企業のECサイトリニューアルプロジェクト
売上規模: 年間100億円、月間PV: 500万
【担当業務】
- 商品検索API(Elasticsearch)の設計・実装
- 決済システムとの外部連携機能の開発
- パフォーマンスチューニング(レスポンス速度40%改善)
【チーム構成】
全体: 15名、開発チーム: 8名(うちバックエンド4名)
【役割】
バックエンドリーダーとして、設計・実装・コードレビューを担当
後輩エンジニア2名の育成も兼務
数値化のポイント
職務経歴書では、できる限り数値を使いましょう。
数値化できる項目:
- プロジェクト規模(人数、期間、予算)
- システムの規模(ユーザー数、PV、データ量)
- 成果(改善率、削減額、売上貢献)
- チーム(メンバー数、育成人数)
数値があることで、採用担当者があなたの経験レベルを具体的にイメージできます。
ステップ5: 面接対策
書類選考を通過したら、次は面接です。エンジニアの面接では、技術的な質問と人物面の質問の両方が行われます。
よく聞かれる質問と回答のポイント
自己紹介(1〜2分)
自己紹介は面接の冒頭で必ず聞かれます。以下の構成で準備しましょう。
- 名前と現職の簡単な紹介(10秒)
- これまでの経歴の概要(30秒)
- 強み・得意分野(20秒)
- 転職で実現したいこと(20秒)
転職理由
転職理由は、ネガティブな内容をポジティブに変換することがポイントです。
| NG例 | OK例 |
|---|---|
| 上司と合わない | より裁量を持って働きたい |
| 残業が多い | 効率的に成果を出せる環境で働きたい |
| 技術が古い | モダンな技術に挑戦したい |
| 給料が低い | 成果に見合った評価を受けたい |
志望動機
志望動機は、以下の3点を含めましょう。
- Why This Industry: なぜこの業界か
- Why This Company: なぜこの会社か
- Why You: なぜ自分が適任か
会社のWebサイト、技術ブログ、採用ページを読み込んで、その会社ならではの理由を伝えることが重要です。
技術面接の対策
エンジニアの面接では、技術的な質問も行われます。
技術面接で聞かれること:
- 過去のプロジェクトについて: 詳細な技術的質問
- 設計の考え方: なぜその技術を選んだか
- トラブルシューティング: 困難をどう乗り越えたか
- コーディングテスト: 実際にコードを書く
技術面接のポイント:
- 自分の担当範囲を明確に説明できるようにする
- 技術選定の理由を論理的に説明できるようにする
- 失敗経験とそこから学んだことを準備する
逆質問の準備
面接の最後には「何か質問はありますか?」と聞かれます。この逆質問は、あなたの志望度や思考力をアピールするチャンスです。
良い逆質問の例:
- 入社後に期待される成果は何ですか?
- チームの開発プロセスについて教えてください
- 技術的な意思決定はどのように行われていますか?
- この職種で活躍している人の特徴を教えてください
避けるべき逆質問:
- 給与や休日の詳細(人事面談で聞く)
- Webサイトを見ればわかる情報
- 「特にありません」(志望度が低く見える)
ステップ6: 市場調査と企業リサーチ
転職活動を成功させるためには、市場調査と企業リサーチが欠かせません。
希望職種の求人動向を調査
転職サイトを活用して、希望する職種の求人動向を調査しましょう。
調査すべき項目:
- 求人数の多さ
- 年収相場
- 求められるスキル
- 採用条件(経験年数など)
企業リサーチの方法
応募する企業について、徹底的にリサーチしましょう。
リサーチ方法:
- 公式サイト: 事業内容、ミッション、採用情報
- 技術ブログ: 使用技術、開発文化
- 口コミサイト: OpenWork、転職会議など
- SNS: 社員の発信、会社の雰囲気
- ニュース: 資金調達、新規事業など
企業の選び方
企業を選ぶ際は、以下の観点で評価しましょう。
| 観点 | チェックポイント |
|---|---|
| 事業 | 成長性、将来性、社会的意義 |
| 技術 | 使用技術、技術力向上の機会 |
| カルチャー | 働き方、評価制度、チームの雰囲気 |
| 条件 | 年収、福利厚生、勤務形態 |
ステップ7: 転職サービスへの登録と活用
準備が整ったら、転職サービスに登録して活動を開始しましょう。
転職サイトの選び方
エンジニア向けの転職サイトは複数あります。それぞれの特徴を理解して、3〜5社に登録しましょう。
転職サイトのタイプ:
| タイプ | 特徴 | 代表的なサービス |
|---|---|---|
| 総合型 | 求人数が多い | リクナビNEXT、doda |
| IT特化型 | エンジニア求人に強い | Green、Findy |
| スカウト型 | 企業からオファーが届く | ビズリーチ、Wantedly |
| エージェント型 | キャリアアドバイザーがサポート | レバテックキャリア |
転職エージェントの活用
転職エージェントは、無料で以下のサポートを受けられます。
- キャリア相談
- 求人紹介
- 書類添削
- 面接対策
- 年収交渉
特に初めての転職の場合は、転職エージェントの活用をおすすめします。
スカウトを受けるコツ
スカウト型サービスでは、プロフィールの充実度がスカウト数に直結します。
スカウトを増やすコツ:
- 職務経歴を詳しく記載する
- スキルを漏れなく登録する
- 希望条件を明確にする
- 定期的にログインする(アクティブユーザーとして認識される)
転職活動中の注意点
最後に、転職活動中に気をつけるべき点をお伝えします。
現職への配慮
転職活動は、現職に迷惑をかけない範囲で行いましょう。
守るべきルール:
- 業務時間外に転職活動を行う
- 会社のPC・メールを転職活動に使わない
- 退職意思は内定後に伝える
- 引き継ぎ期間を十分に確保する
複数社の選考管理
複数の企業に応募すると、選考状況の管理が煩雑になります。スプレッドシートなどで一元管理しましょう。
管理すべき項目:
- 企業名
- 応募日
- 選考状況(書類選考/一次面接/二次面接/最終面接/内定)
- 次のアクション
- 面接日程
- 備考(面接官の名前、質問内容など)
内定後の対応
内定を受けたら、以下のポイントに注意しましょう。
- 回答期限の確認: 通常1週間程度
- 条件の確認: 年収、入社日、配属先など
- 他社選考との調整: 第一志望でない場合は慎重に
- 年収交渉: 根拠を持って交渉する
まとめ
この記事では、エンジニア転職の準備について7つのステップで解説しました。
転職準備の7ステップ:
- 自己分析: 転職の軸を明確にする
- スキルの棚卸し: 市場価値を把握する
- ポートフォリオ整備: GitHubやブログを充実させる
- 職務経歴書作成: 具体的かつ定量的に書く
- 面接対策: よく聞かれる質問への回答を準備する
- 市場調査: 求人動向と企業リサーチを行う
- 転職サービス登録: 複数のサービスを活用する
転職活動は「準備が8割」と言われます。この記事を参考に、しっかりと準備を整えてから転職活動を開始してください。
準備ができていれば、自信を持って面接に臨むことができ、結果として内定獲得率も高まります。あなたの転職成功を応援しています。