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SESと自社開発はどっちがいい?経験者が語る本音の比較
キャリア2026年2月22日· 更新 2026年3月15日· 22分で読める

SESと自社開発はどっちがいい?経験者が語る本音の比較

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この記事の要点

SESと自社開発の違いを年収・働き方・スキルアップ・入社難易度で本音比較。「自社開発最高」論のウソと、あなたに合った選択をするための判断基準。

SES vs 自社開発 比較図解

「SESはやめとけ、自社開発に行け」は半分ウソだ

ネットで「SES」と検索すると、「やめとけ」「ブラック」「将来性なし」という記事が山ほど出てくる。逆に自社開発は「モダン技術」「高年収」「キラキラ」みたいなイメージで語られる。

だが、自社開発に転職すれば全員が幸せになるわけではない。

社員20人のスタートアップに入ったら、入社3ヶ月で事業ピボット。SESの方が安定していた。メガベンチャーに入ったら、周りが優秀すぎてプレッシャーで潰れそうになった。自社開発に入ったのに、実態は受託開発ばかりだった——こういう話は実際にある。

SESにもメリットがある。自社開発にもデメリットがある。大事なのは「どっちが上か」ではなく、**「自分にはどっちが合うか」**だ。

この記事では、SESと自社開発をフラットに比較する。「自社開発最高」の空気に流されず、自分に合った選択をするための材料を提供する。

ビジネスモデルの違いを理解する

SESと自社開発の違いは、何で稼いでいるかが根本的に違う。これがすべての差に繋がる。

SES自社開発
収益源エンジニアの稼働時間プロダクトの売上
顧客クライアント企業エンドユーザー
勤務地客先自社オフィス/リモート
技術選定クライアントが決める自社で決める
開発期間契約期間(数ヶ月〜1年)継続的(終わりなし)

SESは「人の稼働時間」を売っている。だからエンジニアが働いた時間=売上になる。自社開発は「プロダクト」を売っている。だからプロダクトが成長すれば、同じ人数でも売上が伸びる。

この構造の違いが、年収、働き方、評価制度のすべてに影響する。

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年収:同じスキルで100〜200万円の差

エンジニアの年収比較イメージ

一番気になるであろう年収から比較する。

経験年数別の比較

経験年数SES自社開発差額
3年目380万円500万円+120万円
5年目450万円600万円+150万円
7年目550万円750万円+200万円

あくまで目安だが、同じスキルでも自社開発の方が100万〜200万円高い傾向がある。

なぜ差が生まれるのか

SESの年収が低い理由は、多重下請構造の中間マージンと還元率の問題だ。クライアントが月100万円払っていても、エンジニアの手取りは25〜35万円程度になることがある。

自社開発では中間マージンがない。さらに、エンジニアの成果がプロダクトの売上に直結するため、スキルが高い人ほど給与に反映されやすい。

ただし例外もある

  • 高還元SES(還元率70%以上)なら、中小の自社開発と年収が変わらないこともある
  • スタートアップは資金に限りがあるため、SESより年収が低いケースもある
  • 大手SIerは自社開発ではないが、年収はSESより高い

「自社開発=高年収」と単純化するのは危険だ。企業の規模、ステージ、ビジネスモデルによって変わる。

働き方:自由度 vs 安定感

SESの働き方

良い面:

  • 契約時間が明記されているため、大幅な残業が発生しにくい
  • プロジェクトの最終責任はクライアント側にあるため、精神的な負担が限定的
  • 現場が変わるので、合わない環境をリセットできる
  • 様々な企業文化を経験できる

きつい面:

  • 客先常駐が基本。勤務地は選べない
  • 現場が頻繁に変わり、人間関係をゼロから構築
  • 帰属意識を持ちにくく、孤独を感じやすい
  • リモートワークが選べないことが多い

自社開発の働き方

良い面:

  • 自社オフィスまたはリモートで安定した勤務
  • 同じチームで長期的に関係を築ける
  • 技術選定やプロダクトの方向性に関われる
  • リモートワーク導入率が高い

きつい面:

  • プロダクトの成功に責任を感じるプレッシャー
  • 障害対応やリリース前は残業が増える
  • 同じチームの人間関係が固定化(合わないと逃げ場がない)
  • ベンチャーだと「何でもやる」文化で業務範囲が曖昧

本音の比較

SESの方が「楽」だという声は実は結構ある。契約範囲内の仕事をすればよく、現場が合わなければ数ヶ月で変わる。精神的な負担は自社開発の方が大きいケースもある。

一方、自社開発は「やりがい」と「安定した環境」を得られる。自分が作ったものがユーザーに使われ、反応が返ってくる体験はSESでは得にくい。

「楽さ」を求めるならSES、「やりがいと安定」を求めるなら自社開発——これが正直なところだ。

スキルアップ:幅 vs 深さ

SESのスキルアップ

身につきやすい:

  • 複数の言語・フレームワークの幅広い経験
  • 新しい環境への適応力
  • コミュニケーション能力(毎回初対面のチームで働く)
  • 様々な業界の業務知識

身につきにくい:

  • 一つの技術を深掘りする機会
  • 設計や技術選定の経験
  • プロダクトを長期運用するノウハウ
  • CI/CDやインフラ構築など「仕組みを作る」経験

SESは幅広い経験が積める反面、どれも浅くなりがち。3年間で5つの現場を経験しても、「どれも半年以下の関わり」だとアピールしにくい。

自社開発のスキルアップ

身につきやすい:

  • 特定技術の深い知識
  • 設計力(アーキテクチャ設計、DB設計)
  • プロダクトの企画→開発→運用の一連の流れ
  • CI/CD、自動テスト、パフォーマンスチューニング

身につきにくい:

  • 幅広い言語・技術の経験
  • 異なる業界の業務知識
  • 「何でも対応できる」汎用性

自社開発は特定の技術を深く掘れる反面、使う技術が限定的になりがち。同じプロダクトを3年触り続けると、「Reactしかできません」みたいな状態になるリスクもある。

どちらが市場価値が高いか

正直、ケースバイケースだ。

  • スペシャリストを求める企業 → 自社開発の深い経験が有利
  • 何でもできる人を求める企業 → SESの幅広い経験が有利
  • 特定業界のシステムを作る企業 → SESの業界知識が武器になることも

「自社開発の方が市場価値が高い」と一概には言えない。

SESでスキルがつかない原因と脱出法|現場内外の戦略

SESでスキルが伸びない構造的理由と、今すぐできる対策を解説。

入社難易度:現実的に受かるか

転職面接に臨むエンジニアのイメージ

SES(難易度: 低〜中)

未経験からでも入れる。IT業界への入口として最もハードルが低い。

採用で見られるポイント:

  • ITへの興味・学習意欲
  • コミュニケーション能力
  • ビジネスマナー

面接1〜2回で内定が出ることも多い。研修制度が整っている企業もある。

自社開発(難易度: 中〜高)

実務経験者を求める傾向が強い。未経験からの直接入社は非常に難しい。

採用で見られるポイント:

  • コーディング試験(企業によっては必須)
  • ポートフォリオ・個人開発の実績
  • 技術的な深い質問への回答力
  • チームでの協働経験
  • カルチャーフィット

面接3〜4回、コーディング試験あり、というのは珍しくない。

現実的なルート

未経験からいきなり自社開発に入るのは難しい。まずSESで2〜3年の実務経験を積み、その後自社開発に転職するというルートが現実的だ。

ステージ選択肢
未経験〜1年目SES(まず実務経験を積む)
2〜3年目自社開発への転職を検討する時期
4年目以降スキルを活かして年収・キャリアアップ

SESは「ゴール」ではなく「通過点」として使うのが戦略的だ。ただし、SESの働き方が自分に合っていると感じるなら、高還元SESに移って長く続けるのも一つの正解だ。

「自社開発に行けば幸せになれる」のウソ

自社開発に対する幻想を持ちすぎると、転職後にギャップで苦しむ。よくある誤解を挙げておく。

誤解1: 自社開発は全部モダン技術

実際は、数年前に構築されたレガシーなコードベースを保守する仕事も多い。技術的負債と戦う日々になることもある。「入社したらReactで最先端の開発ができる」とは限らない。

誤解2: 残業が少ない

リリース前、障害対応時は深夜まで対応することもある。「自分のプロダクト」だから、SESのように「契約時間が来たから帰ります」とは言いにくい。責任感がある分、際限なく働いてしまう人もいる。

誤解3: 人間関係が楽

SESは現場が変わるから人間関係をリセットできる。自社開発は同じチームで何年も一緒に働く。もし合わない人がいたら、逃げ場がない。これは意外と大きなストレスになる。

誤解4: 全員が技術に強い

メガベンチャーなら技術力の高い人が多いが、中小の自社開発だと「少人数で何でもやる」状態になり、技術力が高いとは限らない。SESの大手SIer常駐の方が、技術力の高いエンジニアと一緒に働ける場合もある。

あなたにはどっちが合う?判断基準

SESが合う人

  • 未経験からエンジニアになりたい — まずは入口として
  • いろんな技術・業界を見たい — 複数のプロジェクトで幅を広げる
  • 環境の変化を楽しめる — 新しい現場、新しい人に前向き
  • ワークライフバランス最優先 — 契約時間内で帰りたい
  • まだ自分の方向性が定まっていない — 経験しながら考えたい

自社開発が合う人

  • 一つのプロダクトに深く関わりたい — 企画→開発→運用を一貫で
  • 技術選定や設計に関わりたい — 使う技術を自分で決めたい
  • 安定した勤務環境がほしい — 勤務地が変わるのがストレス
  • 年収を上げたい — SESの天井を超えたい
  • 2年以上の実務経験がある — 入社のハードルを超えられるスキルがある

結局、正解はない

SESが合う人もいれば、自社開発が合う人もいる。大事なのは自分の価値観とキャリアステージに合った選択をすることだ。

「自社開発に行かないとダメ」なんてことはない。SESで働きながら高還元の企業で年収600万円を稼ぎ、ワークライフバランスを保っている人もいる。

SESから自社開発へ転職したい場合

SESから自社開発への具体的な転職戦略は、以下の記事で詳しく解説している。

転職を本格的に考えるなら、まずはIT特化型のエージェントに相談して自分の市場価値を確認するのが効率的だ。

TechGo - ITエンジニア専門転職エージェント

SESを辞めたい人の転職先の選び方|理由別おすすめと成功事例

「辞めたい理由」から逆算して転職先を選ぶ方法。6つの転職先を徹底比較。

まとめ:フラットに比較した上で、自分で決める

観点SES自社開発
年収400万〜650万円450万〜800万円+
入社難易度低〜中中〜高
技術の幅広い(浅め)狭い(深い)
働き方の安定低(現場が変わる)高(固定)
やりがい案件次第プロダクトの成長を実感
ワークライフバランス良好な傾向案件次第(忙しいことも)

「SESはダメ、自社開発に行くべき」——この論調に流されてはいけない。

SESには「幅広い経験」「環境の変化」「ワークライフバランス」というメリットがある。自社開発には「年収」「深い技術力」「プロダクトへの愛着」というメリットがある。

自分が何を最も大切にするかを考え、それに合った選択をしてほしい。どちらを選んでも、正解にできるのは自分次第だ。

よくある質問

QSESから自社開発に転職すると年収は上がりますか?+
A

経験3〜5年の場合、同規模の自社開発企業への転職で100〜200万円のアップが多く見られます。ただしスタートアップや小規模企業の場合、SESと変わらない・下がるケースもあるため、企業の規模と資金状況を確認することが重要です。

QSESと自社開発、どちらがスキルアップしやすいですか?+
A

スキルの「幅」はSES、「深さ」は自社開発が有利です。転職市場では特定技術の深い経験が評価されやすいため、自社開発の方が市場価値を高めやすい傾向があります。ただし配属される技術スタックの質も大きく左右します。

Q自社開発企業は残業が少ないというのは本当ですか?+
A

企業によります。安定した運用フェーズの企業では月20〜30時間程度ですが、スタートアップやリリース直前の企業では深夜対応が発生することもあります。面接で「直近のリリースで残業が最も多かった月を教えてください」と聞くのが有効です。

QSESから自社開発への転職に必要な準備は何ですか?+
A

主に①ポートフォリオ(GitHubに公開した個人開発アプリ)②モダンな技術スタックの知識(React・TypeScript・Docker・AWSなど)③面接でのコーディング試験対策、の3つが必要です。経験年数が3年以上あれば、3ヶ月程度の準備で十分な場合が多いです。

QSESのままでも年収600万円は目指せますか?+
A

高還元SES(還元率70〜80%)かつ月単価80万円以上の案件に入れば可能です。PM/PL経験がある場合は月単価100万円以上も視野に入り、還元率70%なら年収840万円相当になります。ただし単価の天井(月120万円前後)はSES構造上避けられません。

テックキャリア解析所 編集部

元SESエンジニア|IT業界10年

SES・SIerでの実務経験をもとに、ITエンジニアのキャリア設計・転職・スキルアップに関する情報を発信しています。