はじめに
「客先常駐に疲れた」「自分の会社のプロダクトを作りたい」「もっと技術的なチャレンジがしたい」
SESでJavaを使っているエンジニアの中には、自社開発企業への転職を夢見ている人が多いのではないでしょうか。
SESから自社開発への転職は、エンジニアにとってキャリアの大きな転換点になります。客先常駐という働き方から離れ、自分たちのプロダクトに長期的に関わることで、エンジニアとしての成長機会が大きく広がります。
この記事では、SESでJavaを使っているエンジニアが、自社開発企業への転職を成功させるための具体的な方法を解説します。
この記事でわかること:
- SESと自社開発の本質的な違い
- 自社開発企業の求人を見極めるポイント
- SESでのJava経験を活かすアピール方法
- 面接対策と転職成功のコツ
SESと自社開発の違いを理解する
転職を成功させるためには、SESと自社開発の違いを正確に理解することが重要です。
ビジネスモデルの違い
SESと自社開発では、ビジネスモデルが根本的に異なります。
| 項目 | SES | 自社開発 |
|---|---|---|
| 収益源 | エンジニアの稼働時間 | プロダクトの売上 |
| 顧客 | クライアント企業 | エンドユーザー |
| 開発期間 | 契約期間(数ヶ月〜1年) | 継続的(数年〜無期限) |
| 要件決定 | クライアント | 自社のプロダクトチーム |
SESでは「エンジニアの時間を売る」ビジネスですが、自社開発では「プロダクトの価値を売る」ビジネスです。この違いが、日々の仕事の進め方に大きく影響します。
働き方の違い
自社開発に転職すると、働き方が大きく変わります。
SESでの典型的な働き方:
- 客先常駐(自社のオフィスにほとんど行かない)
- 現場ごとに開発環境・文化が異なる
- 契約期間が終わると次の現場へ
- 帰属意識が持ちにくい
自社開発での典型的な働き方:
- 自社オフィス(またはリモート)で勤務
- 一貫した開発環境・文化
- 長期的に同じプロダクトに関わる
- チームへの帰属意識が持てる
エンジニアとしての成長機会
自社開発では、エンジニアとしての成長機会が増えます。
自社開発での成長機会:
- 技術選定に関われる
- 設計段階から参加できる
- プロダクトの成長を実感できる
- コードベースを継続的に改善できる
- 勉強会や技術カンファレンスへの参加機会
SESでは、クライアントの指定した技術を使うことが多く、技術選定や設計の初期段階に関わる機会は限られがちです。
年収の違い
SESと自社開発では、年収構造も異なります。
Java経験3〜5年の年収目安:
| 企業タイプ | 年収レンジ |
|---|---|
| SES(中小) | 350万〜450万円 |
| SES(大手) | 400万〜550万円 |
| 自社開発(ベンチャー) | 450万〜650万円 |
| 自社開発(メガベンチャー) | 550万〜800万円 |
| 自社開発(外資系) | 700万〜1000万円+ |
自社開発企業への転職で、年収アップを実現するケースは多いです。
SESと自社開発はどっちがいい?経験者が語る本音の比較
SES・自社開発の年収・スキルアップ・働き方を詳細比較。転職前に確認しておきたい

自社開発企業の種類と特徴
「自社開発」と一口に言っても、様々なタイプがあります。自分に合った企業を見つけるために、種類と特徴を理解しておきましょう。
Web系メガベンチャー
代表例: サイバーエージェント、DeNA、楽天、LINE、メルカリなど
特徴:
- 従業員数1,000人以上
- 複数のサービスを運営
- 安定した経営基盤と福利厚生
- 社内勉強会、カンファレンス登壇が盛ん
- Javaを使っている部署も多い
Javaエンジニアにとって、メガベンチャーは比較的入りやすい選択肢です。大規模なJavaシステムを持つ企業も多く、SESでの経験が活かしやすいです。
成長期スタートアップ
特徴:
- 従業員数50〜300人程度
- 資金調達済みで急成長中
- 裁量が大きく、幅広い経験ができる
- ストックオプションの可能性
- 技術スタックはモダンな傾向
スタートアップでは、Kotlinやその他のJVM言語を採用しているケースも増えています。Javaの経験があれば、Kotlinへの移行もスムーズです。
BtoB SaaS企業
特徴:
- 法人向けクラウドサービスを提供
- 安定したサブスクリプション収益
- 顧客フィードバックを直接受けられる
- 比較的落ち着いた開発環境
- Javaを採用している企業も多い
BtoB SaaSでは、エンタープライズ向けの堅牢なシステムが求められるため、SIer/SESでの経験が評価されやすい傾向があります。
事業会社のIT部門(内製化)
特徴:
- 小売、金融、製造などの事業会社
- IT内製化の流れで採用強化中
- 業務知識があると有利
- 比較的安定した環境
- レガシーシステムのモダナイゼーション案件も
近年、多くの事業会社がIT内製化を進めており、採用が活発化しています。SESで特定業界(金融、製造など)の経験があると、同じ業界の事業会社で重宝されます。
SESでのJava経験を活かすアピールポイント
SESでのJava経験を、自社開発企業への転職でどのようにアピールすべきか解説します。
技術スキルのアピール
Javaの実務経験は、自社開発企業でも十分に評価されます。
アピールすべきスキル:
-
Java Core
- Java 8以降の機能(ラムダ式、Stream API)
- マルチスレッド、並行処理の理解
- JVMのメモリ管理の知識
-
フレームワーク
- Spring Boot / Spring Framework
- Spring Security
- Spring Batch
- MyBatis / JPA / Hibernate
-
データベース
- RDBMSの設計経験(MySQL, PostgreSQL, Oracle)
- SQLチューニングの経験
- ORマッパーの使用経験
-
その他
- Git/GitHub
- CI/CD(Jenkins, GitHub Actions)
- Docker(経験があれば)
- AWS/GCP(経験があれば)
プロジェクト経験のアピール
SESでは様々なプロジェクトを経験しているはずです。その経験を効果的にアピールしましょう。
アピールのポイント:
- プロジェクトの規模(人数、期間、予算)
- 担当した役割と業務内容
- 使用した技術スタック
- 達成した成果(定量的に)
良い例:
【プロジェクト】大手金融機関の基幹システムリプレース
【期間】2023年4月〜2024年9月(18ヶ月)
【チーム規模】30名(開発15名)
【役割】バックエンドサブリーダー
【技術】Java 17, Spring Boot 3.x, PostgreSQL, AWS
【担当業務】
- API設計・実装(30本)
- データベース設計(10テーブル)
- パフォーマンスチューニング
- 後輩エンジニア(2名)の育成
【成果】
- バッチ処理の実行時間を4時間→1.5時間に短縮(62%改善)
- 単体テストカバレッジ85%を達成
- 本番リリース後のバグ0件
ソフトスキルのアピール
SESでは、様々な現場で様々な人と働いてきた経験があります。このソフトスキルもアピールポイントになります。
アピールできるソフトスキル:
- 新しい環境への適応力
- 多様なチームでの協働経験
- クライアントとのコミュニケーション能力
- ドキュメント作成能力
- 短期間でのキャッチアップ力
自社開発企業の求人を見極めるポイント
「自社開発」を謳っていても、実態はSESに近いケースもあります。求人を見極めるポイントを解説します。
要注意な求人の特徴
以下のような求人には注意が必要です。
レッドフラグ:
- 「自社サービス+受託開発」と記載されている
- 勤務地が「プロジェクトによる」「クライアント先」
- 技術スタックの記載が曖昧
- 具体的なプロダクト名の記載がない
- 「SES出身者歓迎」を強調している
確認すべきポイント
応募前・面接時に、以下の点を確認しましょう。
確認ポイント:
-
実際のプロダクト
- どのようなサービスを開発しているか
- サービスのユーザー数、売上規模
- 競合との差別化ポイント
-
技術環境
- 使用している技術スタック
- 開発プロセス(アジャイル、スクラムなど)
- デプロイ頻度
- 技術ブログ、GitHub組織アカウントの有無
-
チーム構成
- エンジニアの人数
- チーム構成(フロント、バック、インフラなど)
- プロダクトマネージャー、デザイナーとの関係性
-
働き方
- リモートワークの可否
- 勤務時間・フレックス制度
- 残業時間の実態
情報収集の方法
企業の実態を知るために、以下の方法で情報収集しましょう。
情報収集方法:
- 公式技術ブログを読む
- GitHubの組織アカウントを確認
- 社員のTwitter/Xをフォロー
- Qiita、Zennの投稿を確認
- 口コミサイト(OpenWork、転職会議)
- カジュアル面談を申し込む
面接対策
SESから自社開発への転職面接で、よく聞かれる質問と回答例を紹介します。
「なぜSESから自社開発に転職したいのですか?」
NG回答:
- 「SESは客先常駐が辛いから」
- 「SESの年収が低いから」
- 「SESだとスキルアップできないから」
OK回答:
「SESで様々なプロジェクトを経験する中で、
自分が本当にやりたいことが明確になりました。
それは、一つのプロダクトに長期的に関わり、
ユーザーに価値を届け続けることです。
御社の○○サービスは、△△という課題を解決しており、
私がこれまで培ってきたJavaとバックエンド開発のスキルで
貢献できると考えています。
プロダクトの成長を自分事として捉え、
技術的な改善提案も積極的に行っていきたいです。」
「SESでの経験で学んだことは何ですか?」
回答のポイント:
- 具体的な技術スキル
- ソフトスキル(適応力、コミュニケーション)
- 業務知識
- 学んだ姿勢・マインドセット
技術的な質問への対応
自社開発企業の面接では、技術的な深掘り質問が多くなります。
よくある質問:
- Javaのバージョンごとの違い(Java 8, 11, 17)
- Spring BootのDI(Dependency Injection)の仕組み
- トランザクション管理の方法
- JVMのメモリ管理とGCの仕組み
- マイクロサービスアーキテクチャについて
- 設計パターンの知識
対策:
- 基本的な技術知識を復習しておく
- 「わからない」ことは正直に伝える
- 興味を持って学ぶ姿勢を見せる
転職成功のためのステップ
SESから自社開発への転職を成功させる具体的なステップを解説します。
Step 1: スキルの棚卸しと目標設定
まず、自分のスキルを整理し、目標を設定しましょう。
整理すべき項目:
- 経験したプロジェクト一覧
- 使用した技術スタック
- 達成した成果
- 得意な領域、苦手な領域
目標設定:
- どのような企業で働きたいか
- どのような技術を使いたいか
- 年収の希望ライン
- 働き方の希望(リモート、フレックスなど)
Step 2: スキルアップ(必要に応じて)
SESでの経験だけでは不足しているスキルがあれば、補強しましょう。
自社開発で求められることが多いスキル:
- Docker/Kubernetes
- CI/CDパイプライン
- AWS/GCPの基本
- アジャイル開発の知識
- GitHubでのチーム開発
Step 3: ポートフォリオ作成
個人開発のポートフォリオがあると、評価が高まります。
ポートフォリオのポイント:
- 実際に動くアプリケーション
- GitHubで公開
- READMEに技術選定の理由を記載
- テストコードを含む
Step 4: 転職エージェントに登録
自社開発企業への転職では、転職エージェントの活用が効果的です。
TechGoは、年収アップ率95%、平均138万円アップの実績があります。アドバイザーの8割が元エンジニア・ITコンサル出身なので、SESからのキャリアチェンジについても的確なアドバイスがもらえます。面接対策も回数無制限でサポートしてもらえるため、自社開発企業特有の面接にも対応できます。
Step 5: 面接を受ける
面接では、SESでの経験をポジティブに伝え、自社開発で働く意欲を示しましょう。
面接で意識すること:
- SESの経験を強みとしてアピール
- その会社のプロダクトへの関心を示す
- 長期的に働く意欲を伝える
- 技術的な質問には誠実に回答
Step 6: 内定後の条件交渉
内定が出たら、条件をしっかり確認・交渉しましょう。
確認すべき項目:
- 年収(基本給、ボーナス、昇給制度)
- 配属先、担当プロダクト
- 使用技術
- 勤務形態(リモート、フレックス)
- 評価制度
SESからWeb系エンジニアへ転職|6ヶ月ロードマップ
自社開発転職をさらに深掘り。Web系に特化した6ヶ月の学習計画を確認する

まとめ
この記事では、SESでJavaを使っているエンジニアが自社開発企業へ転職する方法を解説しました。
記事のポイント:
- SESの経験は強みになる - 多様なプロジェクト経験、適応力、技術スキルをアピールできる
- 企業を見極める - 「自社開発」の実態を確認し、本当に自社プロダクトがある企業を選ぶ
- 面接ではポジティブに - SESからの転職理由は前向きに、その会社で実現したいことを語る
- 転職エージェントを活用 - 自社開発企業の求人に強いエージェントを使う
SESから自社開発への転職は、エンジニアとしてのキャリアを大きく変えるチャンスです。客先常駐から解放され、自分たちのプロダクトに長期的に関わることで、技術的にも人間的にも成長できます。
SESを辞めたい人の転職先の選び方|理由別おすすめと成功事例
自社開発以外の選択肢も含めた転職先の全体像を確認する
SESで年収が上がらない構造的な理由と解決策
年収の不満を自社開発転職で解消できるかを確認しよう
